田中秀雄『朝鮮で聖者と呼ばれた日本人』重松髜修物語

2010年5月24日月曜日

朝鮮農村物語 我が足跡 その頃の便り 3

 そんな中、毎日、新聞を見るのと配達されてくる手紙を見るのが何よりの楽しみだった。その日もいくつかの手紙が配達されたが、その中に同窓生で満鉄に出ている杉尾君からこんな手紙が来た。

  拝啓 貴兄は嘗て在校時代より、人に優れて勇気あり、
  義侠心に富める誠に敬すべき御人格なりしと、小生は
  いつも信じ居り候、果せる哉此の度の騒擾事件には、
  名誉ある御精神を発揮せられ、世人の周く敬慕と同情
  する処にして小生は親友として、我がものゝ如く嬉しく候、
  願くは一日も早く御全快するやう、伏して願ひ上げ候 敬具
   三月二十日                杉尾眞太郎
   我が敬慕せる重松髜修様

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